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キヤノン企業分析 [2018年度版]

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はじめに

気になっている企業を分析していきます。企業分析第1弾はキヤノンです。業績、事業内容、今後の成長性について調査していきます。皆様の投資活動に参考になれば幸いです。

※本記事は企業とは関係のない個人が作成しています。企業情報、製品情報、シェアや市場規模のデータは正確なデータを載せるよう努めていますが、間違いの可能性があることをご了承下さい。

会社概要 (2018年実績)

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キヤノンは売上高、営業利益、純利益の全てが上場企業約3700社の中で30位前後と日本を代表する企業であることが分かります。また、自己資本比率が57.7%とかなり高く経営が健全な状態であることも確認できます。

自己資本比率について詳細はこちら⇒自己資本比率の適正値は?

 

 会社全体のセグメント別業績

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キヤノンの事業は「オフィス」、「イメージングシステム」、「メディカルシステム」、「産業機器その他」の4つに分けられています。セグメント別ではオフィス事業とイメージング事業が売上高の約70%、営業利益の約80%を占めており業績の要となっていることが分かります。

 直近5年の業績

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直近5年の業績を見ると、会社全体の業績は近年少しずつ成長しています。営業利益率は8.5%前後と高水準をキープしており、会社全体としては順調な経営状態といえるでしょう。営業利益率に関して明確な基準はありませんが、目安として上場企業は5%で標準、10%で高利益率企業と考えられています。それでは、なぜ良好な経営状態で成長を続けられるのかを各事業内容を見ることで確認していきましょう。

 事業内容

オフィス

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オフィス事業では、世界シェア3位の複合機・複写機と世界シェア1位のLP(レーザープリンタ)が大黒柱となっています。ここで注意して頂きたいのは、LPの世界シェア1位はOEM供給分を含めていることです。この値は2019年のキヤノングローバルHPより引用しています。その他領域では2010年に買収したオセ社との協業で幅広いラインナップをそろえる商業印刷機が目立っており、商業印刷の中では世界シェア17%で2位となっています。

 オフィスの直近5年の業績

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5年間の業績を並べてみると、少しずつ売上高と営業利益が減少してきていることが伺えます。先進国ではペーパーレス会議やオンライン業務が浸透していきプリンターの需要は減少していくと考えられています。新興国の需要は増加傾向にあると言われていますが、市場全体としては減少していく可能性も大きいと私は予想しています。今後のオフィス事業はどうなっていくか見極めが難しいところです。

イメージングシステム

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イメージングシステム事業は主にカメラとインクジェットプリンターで収益を上げています。レンズ交換式カメラとコンパクトデジタルカメラで世界シェア1位を取っており、業界で確固たる地位を築いています。インクジェットプリンターは世界シェア2位です。インクジェットプリンターはオフィス事業ではないの?と疑問に思うかもしれませんが、キヤノンでは2010年よりインクジェットプリンターは事務機の事業分野からイメージングシステム事業の前身であるコンシューマ事業に移動しています。また、2012年には大判インクジェットプリンターもイメージングシステム事業に移動し、インクジェットプリンターはサイズに関係なくイメージングシステムの製品として扱われています。

イメージングシステムの直近5年の業績

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 営業利益率がこの5年全てで10%を超えており、かなり高い水準を保っていることが分かります。しかしイメージングシステムの売上高と営業利益は減少が続いています。2014年実績と2018年実績を比較すると売上高は約25%減少、営業利益は約40%の減少です。この大幅な減少はスマートフォンカメラの高性能化がもたらしたデジタルカメラ市場の縮小が大きな要因となっています。参考資料として世界のデジタルカメラ市場規模の推移を示します。データの参考元は株式会社ニコンが発表している2014から2018年の決算短信・説明会資料です。

世界デジタルカメラの市場規模

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 世界デジタルカメラの市場規模は近年激減していることが分かります。レンズ交換式のデジタルカメラは2014年から2018年の5年間で約26%減、コンパクトデジタルカメラは約71%の減少です。今後も市場規模は減少していくと予想されており、イメージングシステム事業の業績は悪化していくと予想されます。

メディカルシステム

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キヤノンは2016年12月に東芝メディカルシステムズを買収し、2018年1月4日付でキヤノンメディカルシステムズ株式会社へ商号変更し完全にキヤノンのグループ会社にしました。そして2017年実績からはメディカルシステムが新規事業として立ち上がりました。CT、超音波診断装置、MRIなどの画像診断機器の国内シェアは1位であり、成長が期待される事業です。(画像診断機器は、体内の様子を画像にして腫瘍、梗塞、動脈瘤などの異常がないか診断する医療機器を指します。)

メディカルシステムの直近5年の業績

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事業が始まった2017年の売上高は4362億円、翌年の2018年は4376億円とほぼ変わっていませんが、営業利益は63億円増加し営業利益率は1.4%増の6.6%になっています。オフィスやイメージングシステムの営業利益率と比較すると2桁になっていないことが心許なく思うかもしれません。しかし、5%を超えていれば順調なビジネスと考えられる日本企業の枠組みに当てはめれば十分な営業利益率かもしれません。

産業機器その他

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産業機器その他は半導体露光装置、FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、ネットワークカメラなどで構成されています。露光装置はASML、ニコンに次ぐ世界のトップ3に入るシェアを有しています。産業機器はグループ会社キヤノントッキの有機ELディスプレイ装置が高い技術レベルで世界標準となり進化を続けています。また、世界的なセキュリティ意識の高まりからネットワークカメラも急成長しています。

産業機器その他の直近5年の業績

f:id:hachikulo:20190814172014p:plain 売上高が5年で約2倍になっています。営業利益は2014年と2015年は先行投資のため赤字でしたが、2018年には8.1%まで回復しています。決算書によると新規事業のネットワークカメラが好調のようです。

 まとめ

業績の約半分を占める事務機器は市場の成熟化が進み、同じく世界シェア1位のカメラはスマートフォンカメラ機能の進化により市場全体の縮小が続いています。しかし、成長力を失っていません。新規事業が既存事業の後退を補い近年の業績は成長しています。今後も引き続き業績を上げ続けるには芽が出始めた商業印刷、メディカル、産業機器、ネットワークカメラの4大新規事業の成長が今後のキーとなっていくでしょう。

えりまきの投資家目線コメント

成長性の様子見が必要ですが、財務体力があるところが魅力的ですね。割安になれば是非買いたいですね!!